DNAについて

ウイルス、タンパク質、大腸菌の解説をするのにどうしても避けて通れないのがDNAである。以前はここまで調べる気になれなかったのに、どの方面を調べても最終的にDNAの構造を理解しないと各々が理解できないから困る。なのでDNAの解説を最低限覚えておくことだけしてみよう。
wikipedia DNA
DNAの基礎

  • DNAはタンパク質の設計図である。
  • DNAは二重螺旋で構成されている、その2本を橋渡しする形で塩基が存在し、1段階の橋は2つの塩基で作られる
  • 対になる存在にRNAがある。RNAには主なものにrRNA、mRNA、tRNAがある、詳細は後述。
  • DNAとRNAを総合して核酸(Nucleic Acid)と言う。RNAのRはリボース(ribo)、DNAのDはデオキシリボDeoxyribo(=De・oxy・ribo、酸素が無いリボース、の名の通り、リボースから酸素が1分子無いのがデオキシリボース)。以下、DNAの場合に「デオキシなんたら」、RNAの場合は「なんらた」という名前になります。

DNA・RNAのパーツ

  • DNAの場合、[A]アデニン(C5H5N5)、[G]グアニン(C5H5N5O)、[C]シトシン(C4H5N3O)、[T]チミン(C5H6N2O2)の4種類の塩基。RNAの場合はチミンの代わりに[U]ウラシル(C4H4O2N2)が使われる。
  • [A]アデニンの対には必ず[T]チミン([U]ウラシル)が存在し、[C]シトシンの対には必ず[G]グアニンが存在する。
  • 塩基に(デオキシ)リボースという糖(五炭糖)が結合したもの1つを(デオキシ)ヌクレオシドと呼ぶ
  • (デオキシ)ヌクレオシドに、さらにリン酸が結合したもの1つを(デオキシ)ヌクレオチドと呼ぶ。
  • この(デオキシ)リボースとリン酸が縦方向に結合して、DNA・RNAを構成する。要するに(デオキシ)リボースとリン酸が磁石のS極、N極でそれぞれつながれ、その磁石に固定された塩基同士がやはり結ばれている感じ、強引な解説。
  • 上から順番に見て行くと、4種類の塩基が次々に出てくるので、1階当たり2bitの情報を持っている事になる

DNA・RNAの論理構造

  • さて、タンパク質は20種類のアミノ酸がたくさん集まって構成されている事は発酵について・基礎1で述べた。
  • 20種類を表現するのには最低5bit必要だが、DNA1階が2bitで構成されているので、6bit使う事になる
  • ↑を訳すと、「DNAは1つのアミノ酸を表すのに、塩基を3つ使う」となる--ちなみに「ここから新しいペプチド開始」というヘッダ(メチオニン)と、「ここで1つのペプチド終了」というEnd of File(トリプトファン)もある

DNA・RNAのはたらき

  • さて、細胞がタンパク質を必要とすると、タンパク質を作らなければならない
  • タンパク質は20種類のアミノ酸の集合体だと何度も書いている
  • そこでまず、RNAポリメラーゼという酵素が、DNAの塩基を読み取り、メッセンジャーRNA(mRNA)に転写する。つまりDNAという設計図は持ち出せないのでそのまま使わず、設計図をコピーして使うようなもんである。このmRNAはDNAをコピーした1本のひもであると思って頂きたい。
  • mRNAはリボソームというタンパク質の集合体の所に行く。
  • なお、このリボソームを作るのはリボソームRNA(rRNA)というRNAとタンパク質である、作り方は省略
  • このリボソームの中にトランスファーRNA(tRNA)というスキャナがあり、mの塩基情報を3つずつ同時に読む事ができる。
  • さて、この1回で3つの塩基を読むと、その情報に対応したアミノ酸が準備される。これが連続して数百〜数万個のアミノ酸が結合され、最後にEnd of Fileが出てくるとめでたく1つのタンパク質が合成されるのである。
  • 余談だが、たまにスキャナが読み間違ったり、mRNAがファイル破損している事もあったりするが、リボソームにエラー訂正機能があったりする。詳細は省略。チェックサム機能があるかどうかは知らないが、6bit(64パターン)で22種類を表現しているので、ある程度冗長性は確保されているのだろうか

結論

  • DNAは設計図で、これを元にタンパク質(酵素・ホルモン・ペプチド)が作られる
  • DNAからmRNAに正確に複写されて、mRNAからタンパク質が作られる
  • DNAからmRNAに複写するのも酵素RNAポリメラーゼ)の仕事

とりあえずこれだけ押さえておけば、DNAの基礎は理解できたも同然だろうと思われる。ちなみに塩基の数は以下の通り。

ヒト 30億
ショウジョウバエ 1億8000万
大腸菌 400万
インフルエンザウイルス 1万8千

ああこれでようやくインフルエンザウイルスの話ができる……かな?