これまで醸造と蒸留について説明したが、もう一つ酒の造り方について説明するなら「糖化」について述べなければならない。もちろんオリゼーが「デンプンを糖に変えます」と言っているそれであり、発酵について・基礎1でちょこっと説明した通りである。要するにデンプンを原材料にするなら、ブドウ糖しか食べられないセレビシエのためにデンプンを糖に変えてあげないといけないという事である。
ところが原材料にデンプンを使わずに、最初から糖分を使っていれば糖化する必要も無く、いきなり酵母に「糖食べたらアルコール出ちゃった」させればいいので、非常に簡単に作れる。いやもちろん美味く造るには手間がかかるけど。
- 最初から糖である果実、特に葡萄を醸造したものが「ワイン」、各々の詳しい解説はいずれ。
- 黒葡萄種の実、皮、種を全部まるごと醸造したものが「赤ワイン」、赤いのは皮の色、苦いのは種の味
- 葡萄の実のみを醸造したものが「白ワイン」、皮を使わないので赤くならない
- 赤ワインを軽く醸造した所でろ過し、それ以上赤みを付けないのが「ロゼワイン」、赤の材料、白の製法。ただしロゼに厳密な定義は無く、赤ワインと白ワインをブレンドしてロゼだという場合も。
- ワインに炭酸を充填したものが「スパークリングワイン」、この場合も、工業的に炭酸を充填したものから、ワインの発酵後に酵母と糖分を追加して再発酵させたものもいろいろ。
- 葡萄を霜で凍らせ、果糖が凝縮された葡萄で造ったのが「アイス・ワイン」
- 葡萄の収穫を遅らせ、貴腐菌(Botrytis Cinerea)を繁殖させ、糖度を凝縮した葡萄で造ったのが「貴腐ワイン」、トカイワインも同じ
- ワインの親戚
- ワインにブランデーを添加してアルコールを強化(fortify)したのが「フォーティファイド・ワイン」、以下の種類がある
- スペイン南部で造られる「シェリー」、作り方が複雑なので後から書くと(1)白葡萄を干して糖度を上げ、圧搾、発酵させる (2)糖分が少ない場合はブランデーで強化 (3)ワイン表面にフロールという膜(正体は酵母)が自然にできるのを待って後発酵させる (4)ソレラシステムという方法で熟成させる (5)熟成後にブランデーを添加する事もある
http://www.ballantines.ne.jp/enjoy/inatomi/04_12/
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- 主にポルトガル北部で造られる「ポート・ワイン」、(1)完熟してより甘くなった葡萄を発酵させる (2)ある程度発酵が進んだところでブランデーを添加する。急にアルコール度数が高くなるため酵母が死滅し、発酵は止まる、南無 (3)澱を引いて熟成
http://www.izumitrading.co.jp/doc/prpon1.html
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- ポルトガル領マディラ島で造られる「マディラ・ワイン」、(1)葡萄を発酵 (2)ブランデーを添加して樽詰め (3)30℃〜50℃の乾燥炉(エストファ)で熟成
http://www.kinoshita-intl.co.jp/wine_portugal/vinhos_b.html
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- 他にマラガ・ワイン。マルサラ・ワイン、ヴァン・ドゥー・ナチュレル、ヴァン・ド・リクール他
- ワインに薬草、香辛料、色素等を加えたものが「アロマタイズド・ワイン」、以下の種類がある
- 白ワインにニガヨモギ等の香草、薬草とスピリッツを加えたものが「ヴェルモット」、マティーニで有名
- ワインに果汁を加えてシロップで甘味を加えたのが「サングリア」(西)
- りんごを醸造したものが「シードル」
- 水で薄めた蜂蜜を醸造したものが「ミード」
- その他の果実を醸造したものが「フルーツ・ワイン」、苺、カシス、洋梨、キウイ他
- 果実が原料の蒸留酒
- ワインを単式蒸留(を2〜3回)したのが「ブランデー」、蒸留以降の製法は基本的にウィスキーと同じ。樽で熟成させているため、ウィスキーと同じ琥珀色になる
- ワイン粕を蒸留したものが「オー・ド・ヴィー・ド・マール」(仏)「グラッパ」(伊)
- コニャック地方(シャラント川沿い)で特定方法で作られたブランデーのみ「コニャック」と呼ぶことができる。
- 連続式蒸留器で蒸留したもの、ブレンデッドのもの、熟成しないものもある
- リンゴを原料にした蒸留酒が「カルヴァドス」
- その他の果実を原料にしたものが「フルーツ・ブランデー」、さくらんぼ、プラム、洋梨、ベリー他
果実原料だけで長くなりすぎた、次回はデンプン原料